俺のイタリア

イタリアに行ったことのない男の日常

秘密

 

20歳の頃、ちょっとした秘密があった。

今思えば全然大したことないけど、

いい加減一人で持ちきれなくなって

友人Nの家に泊まった時に聞いてもらった。

 

真剣な面持ちで聞きおえたNは、

自分には代わりに話す秘密がないからと言って、

布団の中でごそごそ準備をすると、

Nの布団に下の方から潜って、

照らすよう僕にライターを渡した。

僕は言われた通り布団に潜りライターをつけると、

目の前にNの肛門があった。

「これでおあいこでええか?」

とNは四つん這いで言った。

 

 

 

 

 

 

木綿のハンカチーフ

行きつけの喫茶店が改装中。

代わりに近くのスターバックスに行ってみたが、

調子が出なかった。

図書館にも行ってみたけど、

仕事が進まなかった。

 

4月中には改装が終わる。

僕としては改装前の状態に一切不満がなかったので、あまりオシャレになったり、

ハワイ風、シアトル風、サードウェーブ風みたいに

どこか風にならないで欲しい。

働いている人の感じがいいので、

バイトの面接担当も変わらないで欲しい。

ここで働くのがステータスみたいになって、

張り切った人が集まらないで欲しい。

コーヒーや料理がおいしくなっては欲しいけど、

他のバランスが崩れるくらいなら

今までみたいにそこそこでいい。

そこそこがいい。

それに間違っても流行らないで欲しい。

 

 

 

 

 

 

 

細長い生き物

天気のいい昼の海でひとり、

細長い生き物が入り込んだ筒状の棒を集める夢を見た。

たまにちろっと棒の先から顔を出す。

ドキッとする。

「なんでこんなもの集めてるんだろう」

と我に返って目が覚めると朝の5時。

まだ外が暗いので、ベットの中で細長い生き物のことをずっと考えてたら、

突然「チンアナゴだ」とわかった。

 

 

 

マグロ

テレビのニュースを見ていたら、

マグロを素手で捕まえたおじさんがインタビューを受けていた。

おじさんは、友だちを浜に寝転ばせマグロ役にし、どうやって捕まえたか実演していた。

「必死で食らいついたよ」

と友達に必死に食らいついた。

食らいつかれたおじさんもまんざらではなさそうだった。

砂浜に転がって実演するおじさんが2人。

それをいいなと思ってテレビを見るおじさんが1人。

 

 

 

 

 

あけましておめでとうございます

ちょっと前の写真


食卓の横の棚に母の写真が飾ってある。

写真の中の母は笑っている。

思い出した時に線香をあげる。

たまに手を合わせる。

「今日1日大事に生きや」

と言われているような気がするので、

「今日1日大事に生きます」

と心の中で答える。

でも、いつもてきとうな感じで生きてしまう。

 

あけましておめでとうございます。