俺のイタリア

イタリアに行ったことのない男の日常

幸せ

学校の宿題で、親の職業について長男にアンケートされた。

 

なんでこの仕事を選びましたか?

「写真が好きだったから、かな」

 

仕事を始める前のイメージと実際始めた後では違いましたか?

「ベンツに乗って、モデルと結婚できるのかと思ってたけど、

中古のトヨタに乗って、一般人と結婚しました。って書いといて」

 

仕事のやりがいは何ですか?

「自分がいい写真を撮ったなと思ったものが、本や雑誌などになって、読者やクラアント、被写体の人に喜んでもらえたら幸せ、と書いておこうか」

というと長男が

「ちょっと待って、しあわせ…、しあわせはひらがなで書いたほうが伝わるな」

と言ったが、

本当は「幸せ」が漢字で書けなかった。

 

 

 

 

 

 

 

ファンレター

東京新聞の読者から達筆で書かれたハガキをいただく。

達筆と文面から察するに、ご年配の女性のようだ。

というか、葉書をくれるのはいつもご年配の女性。

熟女バンザイ。

貼られたクリスマスのシールもいい。

うちの子を「我が家の孫のように思う」

と書いてあった。

うれしい。

はがきを眺めながら焼酎の水割りを呑んでいると、

「一枚のファンレターをあてに呑んでんの?」

と妻がひやかしてきた。

これ一枚で何杯も呑めるだけ、

熟女からのハガキは旨味成分が濃い。

 

焼肉のタレ

週末。

「焼き肉のタレ」を探していたが見つからず、

しかも「焼肉」という言葉が出てこない。

間違っているのは分かってたがとりあえず

「『しゃぶしゃぶのタレ』どこ?」

と妻に聞いてみた。

妻は「ごまだれ?」と聞いてきた。

妥当な反応だ。

「違う違う、しゃぶしゃぶの、ほら、タレ」

と僕は「焼肉のタレ」を思い浮かべながら言ったところで、冷蔵庫のドレッシングらの棚に「焼肉のタレ」を発見。

「あった、あった」と僕が

「焼肉のタレ」を持って席に戻ると、

家族は変な顔をした。

 

 

トイレトレーニング

朝起きてから、時間のかかるお米を入れた圧力鍋とお味噌汁の鍋を火かけるまでトイレに行くのを我慢している。

点火するやいなや、急いでトイレに駆け込む。

今朝もそうやって、一晩中膀胱に貯め込んだものをすりーっと出していると、

ばーんとトイレのドアが開き、

「こんなとこでなにしてんのよ」

って顔で妻が、

「大、小?」と聞く。

「小」

「まだ?」と横でイライラされても終わる気配なし。

「2階は?」

「こうちゃんが大してる。せっかく、きょうちゃんがトイレ行くって言ってるのに」

四男はトイレトレーニング中。

と言われても終わらない。

下っ腹に力を入れ押し出そうとしたけど、

いっこうに終わる気配なし。

 

 

 

アイデア

妻が原稿を書いている僕のところにやってきて、

「今月の東京新聞のアイデアあげようか?」

と言ってきた。

「ください」とお願いすると、

「私、最近インスタ見てて気づいたんだけど、世界中お父さんて、どこもみんなどうしょうもないの。それ書いたら?」

「………。」

書けるなら書きたいけど、

何がどう、どうしようもないのかとかは一切教えてくれない。

 

 

5m

午前中は家で仕事。

お昼に駅そばを食べにいこうと歩いてたら、

向こうのほうから、おっちゃんが大きな声で歌いながら自転車で近づいてきた。

「陽気やな」と思っていると、

おっちゃんは僕の5m前で歌うのをやめ、

5m後からまた歌い出した。