事件ファイル
「警部、もうこれで3件目です。」
「…死因は?」
「圧死です。見識に回さないと正確なことは言えませんが。何かお考えが?」
「ふむ、ふむ」
「警部、お言葉ですが、そんなに悠長に構えていていいんでしょうか?今、この時間にこの街の何処かで、また新たな犯罪が起こっているかもしれないんですよ。」
「ふむ、そうかもしれんな」
「警部、私たちが相手しているのは、人間なんかじゃない、殺しをたのしんでいるだけの悪魔ですよ」
「君は、ここに来て何年だ?」
「僕ですか?もう3年になります。」
「そうか、わしもデカになって3年ぐらいの頃、今のお前さんと同じように仕事が楽しくて楽しくて仕方がなかった。そんな折、ある事件が起こった。その担当がわしだった。わしは、とにかく前しか見ずに突っ走っていた。で、何が起こったと思う?答えは健全な一市民がその命を失うことになった。皮肉な結末だ。わかるか?それがどういうことか?わしの、このちっぽけな正義感という奴のせいで、関係のない人間がその命を落としたんだぞ。わかったか?わかったら手を出すな。この事件、こっからはわし一人でやる。」
「警部、危険です。相手は言葉もわからないモンスターですよ。」
「モンスターか…でも、本当のモンスターはやつを生んだ今の日本、この社会の歪みかもしれん。わかってくれ、わしはこれ以上、なんの罪もないダンゴムシをやつに殺させるわけにはいかんのだ。」
ダンダダーン!