中学一年の時、アル中(THE アルフィーの中毒)のN君とバンドを組もうということになった。バンドの名前は「THE ナイフィー」という事で落ち着いていた。お年玉を持って難波の楽器屋に行き、N君はギターで、僕はベースを買った。
買ったはいいが、教則本だけではどう弾いていいかわからず、いつの間にか楽器は押入れの中で眠っていた。
そんなある日、N君の近所に住んでる高校生の先輩が、楽器の弾き方を教えてくれるということで、二人でその先輩の家に行くことになった。
その先輩の部屋の入り口には、「メンズニコルクラブ」の敷物が敷いてあって、部屋の中はタバコの煙でもくもくだった。僕はそれだけで完全にビビったが、驚いたことにセーラー服を着た先輩の工藤静香似の彼女がいて(多分似てなかったけど)、プカプカとタバコを吸っているだけでエロく感じた。
「これがロックなんだろう」と僕は思った。
「お前ら、簡単やからこっから始めたらええんちゃう?」と先輩から渡されたのは、ブルーハーツの楽譜だった。
この状況で、「僕たちThe アルフィーがしたいんです。」って言うのが、的外れな発言やということが分かるぐらいには、僕たちは大人だった。
続く