褒めるおじいさん
今日、近所のスーパーで次男の友達のK君にばったり会った。
ありきたりな挨拶していたら、知らないおじいさんが近づいてきて、
「恐竜のTシャツかっこいいね」
といきなりK君の着ていたTシャツを褒めた。
そのおじいさんは、満面の笑みを僕らに投げかけてくるが、どこか体が悪いらしく、体からはチューブが出ていた。
「お父さんが買ってくれたの?お父さん、センスいいね。」
おじいさんは僕の事をK君のお父さんと思って褒めた。
「ボク、恐竜好きなの?嬉しいね。いいお父さんでよかったね。」
とまた褒められた。
「僕とこの子は赤の他人で、このTシャツも僕が選んでも買ってもないです。」
と誤解を解いたところで、どうってことはない。
僕はテレた風にK君の坊主頭を撫でて、父親を演じてみた。
「よし、これからはこのおじいさんみたいに、周りの人の事を褒めていこう。」そう思った。
チラッとK君を見ると、にこりともしてなくてびっくりした。