主夫
今日は主夫。
朝から嫁さんは実家のネジ屋に働きに行った。
嫁さんは、前の晩から朝ごはんを用意して、
朝もいつものようにダラダラ起きないで、
パッと目がさめるているご様子。
生き生きしている。
出会った頃のあなたのようだ。
いつの間にか、僕はあなたをカゴの中の鳥にしていたのだろうか?
羽ばたいていけ、横須賀線に乗って。
キレイだよ。
ぱたぱたぱた。
今日の僕は主夫。
まずは家で洗い物。
あれっ、おかしいや。全然洗い物する気にならないぞ。
てへっ。
気がついたらもうお昼だよ。
あれれ、お昼の洗い物もたまっちゃったよ。
でもおかしいや、これでも洗う気にならないぞ。
頭と体、ドッキングしてくれー。
幼稚園のお迎えだ、急げ急げ。
帰って来てもやっぱり洗う気になんないし。
はっはっは。
誰か、誰か言っておくんなまし、食器を洗えと。
監視しておくんなまし、洗うところを。
あれー、子ども達が帰って来たぞ。
ヒャッホー。
加瀬三等兵、とりあえず晩飯の支度にとりかかる所存であります。
おかしいな〜、全く作る気にならないや。
キャーー。
もう外が暗くなって来たのだ。
コツコツコツ。
あの音は、嫁さんのハイヒールの音。
やばい、もう帰って来た。
よく聞いてみると、タイトスカートの衣擦れ。
シャカシャカ。
オフィスレディーを気取ってやがる。
コツコツ。シャカシャカ。コツコツ。
もうダメだ。
僕は指でピストルを作り、自分のこめかみにそっと当てる。
バキューン。
ジ・エンド。
洗わずの食器が増殖していく。
かちゃかちゃかちゃ。