あまり知られていないが、今回の東京五輪に「カドリング」が、IOCの承認を経て、正式種目になった。
これはもともとは、幼年期から部屋の中を歩き続け、母に「あんた、熊か」と言われていた僕が、ずっとやっていた「家具の角からビームが出てる前提でそれを避けながら部屋を歩き続ける一人遊び」から派生したスポーツ。
幸運なことに、まだ競技人口が少ない事もあって、先日、東京の代々木体育館で行われた予選会の結果、僕が日本代表として今回のオリンピックに出場することになった。
今回のオリンピック、下馬評では、開催国の利がある僕、チェコのカドチッチ、ロシアのカドスキーの三つ巴になると予想されている。最近まで、日本のお家芸だと言われていた「カドリング」も世界の「KADORING」となって採点方法、競技スタイルなんかまで以前の「カドリング道」とは全く別のスポーツと言っていいくらいで、パイオニアの僕でもアドバンテージは無くなったと言っていい。
それに僕は、今まで考えもしなかった様なスランプを経験している。
ただ家の中で一人、純粋に楽しんでいた「カドリング」。
でもどうだろう、五輪代表になった僕は今、国民の期待、スポンサー契約、日本代表のブレザーの採寸または着こなし等々が重荷になってか、
「ビームって何の為に避けるんやったっけ?ていうかビーム出てないやん」
という「カドリング」の存在を根底から覆すような疑問にぶち当たっている。
って、昨夜考え出して寝れなくなったあほな話をしていたら、
「くだらな過ぎて気分悪なった」
と言い捨てて、嫁さんはどこかへ行ってしまった。