インターフォン
近所に住んでる子どもの友達のOくんは、
朝の登校時、うちの子を呼びに来てくれる。
「早く準備しーや、Oくん待たしたらあかんよ」
と雷を落とす嫁さんの声が子どもに聞こえていないのか、僕に似て出来が悪いのか、Oくんにいつもインターフォンを鳴らしてもらってから、少し待ってもらうことになる。それで僕は、インターフォンの液晶に映ったOくんに話しかける。
「Oくんおはよう」
と僕が言うと、
「おっはー」
と返事してくれる。
僕はOくんが退屈してはと、
「おはようございます」の声を変えたり、
語尾を変えたりしながら、ひつこく挨拶する。
すると、Oくんはクスッと笑って、すぐにインターフォンのカメラを指で押さえて、こっちから見えないようにしてくる。
僕はこの一連のやりとりが好きで、朝、インターフォンが鳴るのを楽しみにしている。