俺のイタリア

イタリアに行ったことのない男の日常

あけましておめでとうございます

ちょっと前の写真


食卓の横の棚に母の写真が飾ってある。

写真の中の母は笑っている。

思い出した時に線香をあげる。

たまに手を合わせる。

「今日1日大事に生きや」

と言われているような気がするので、

「今日1日大事に生きます」

と心の中で答える。

でも、いつもてきとうな感じで生きてしまう。

 

あけましておめでとうございます。

 

 

バイト君


小学校からの友だちが東京に来たので、2人で「はとバス」に乗った。

友だちは「バスガイドさんよかったな」と言った。

僕が同意しないと「まだまだ熟女が分かってないな」と言われた。

それから飲みに行った。

そのあとスナックに歌いに行くと、70はゆうに超えたおじいさんが「バイト君」と呼ばれて働いていた。その歳で「バイト君」はどうかと思ったが、

目は黒目がちでキラキラしてて、

内気そうだったからやっぱり「バイト君」でいい。

ポートフォリオの作り方

独身の時は畳の部屋だった。

営業に写真を持って行く時は、

六畳の部屋を綺麗に掃除機をかけて、

そこに自分の写真を並べてみたり、

組み直したりしてまとめ、

ポートフォリオ(革製のクリアファイルのようなもの)に入れて、

営業先に持って行っていた。

 

ある女性ファッション誌に営業に行った時のこと。

二人の女性の編集者が僕のポートフォリオのページをめくるのを僕は緊張しながら横から見ていた。この瞬間はいつも生きた心地がしない。

あるページに来た時、編集者ふたりの表情が変わった。

小心者の僕は編集者のちょっとした反応も見逃さない。

自分のポートフォリオに目をやってみると、

驚いたことに写真のモデルのちょうど顔のあたりに毛が一本ついていた。

髪の毛と言い張るには縮れすぎていたし、

糸くずというには艶がありすぎた。

絶体絶命の状況、

僕がだんまりを決め込んだ次の瞬間、

編集者はぱらっと指先でその毛を弾き飛ばすと、

何事もなかったようにポートフォリオのページをめくり続けた。

 

そこから仕事は来なかった。

 

 

 

「ポール・ヴァーゼンの植物標本」とその周辺 展

大好評発売中『ポール・ヴァーゼンの植物標本』(ポール・ヴァーゼン 堀江敏幸・文)の刊行によせた展示が開催されます!
 
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「ポール・ヴァーゼンの植物標本」とその周辺 展
 

南フランスの蚤の市で偶然出会った植物標本。
奇跡のように美しい状態で残された標本は、ある一人の女性ポール・ヴァーゼンによって作られたものだという──。
その植物標本と作家・堀江敏幸の美しい掌編を編んだ本『ポール・ヴァーゼンの植物標本』の刊行によせて、ポール・ヴァーゼンによる標本数点の展示と、標本写真および植物の展示販売を行ないます。
 
時を、国を越えてやってきた彼女の花たちに会いにきてください。

 
会期:2022年12月6日(火)- 12月11日(日)
会場:森岡書店(東京・銀座)
 
時間:13:00〜19:00
展示参加:
標本=ATLAS 飯村弦太 / 植物=黒田益朗 / 写真=加瀬健太郎
 
【会場】
森岡書店
〒104-0061 東京都中央区銀座1-28-15 鈴木ビル1階

ダイエー


土曜日の朝起きると、

先週撮影した写真データ作成のセレクトが大量に来ていた。

納期、月曜日朝まで。

 

いつもなら「下請けに週末はないのか」

と愚痴るところが、

今回の仕事はギャラが良かった。

フレッシュな気持ちで仕事も進む。

 

 

「売り上げが全てを癒す

中内功 ダイエー創業者