俺のイタリア

イタリアに行ったことのない男の日常

2023-09-01から1ヶ月間の記事一覧

へび

「へび、へび」 朝、三男が大声を上げた。 トイレの窓から見える納屋の屋根裏にへびがゆっくりと入っていった。 へびはまだ子どもなのか細かった。 うちには大きな蜘蛛、大きなげじ、ムカデ、ヤモリがよく出てくるけど、納屋に蛇まで住んでるとは知らなかっ…

部屋で仕事をしていると、 妻のあとから長男が真面目な顔をして入ってきた。 「中学校の壁に大きな穴を開けた」らしい。 遊んでいて体育館のマットようなものを投げたら空いたそうだ。 前にもう少し小さい穴を開けた人は、 修理代に7万円払ったと先生から聞…

やりたいこと

妻がまた新しい資格に向かって勉強している。 つい先日まで保育士の勉強をしていた。 「あかちゃん触れるんだもん天職かも」と言ってたのにやめた。 カラーコーディネーターは本だけ買ってやめた。 子供服のブランド立ち上げはミシンが壊れてやめた。 TOEIC…

そんな人間

子どもがパンツを忘れて銭湯から出ていった。 だらしがない。いつもこれ。 仕方ないので、床に落ちたパンツを拾って銭湯を出る。 「おい、誰やパンツ忘れてたの?」 というと、子どもたちが、 「それ、落ちてたやつだよ」 「パパ持ってきちゃったの?きった…

十五周年

暦の上ではもう秋なのに、クーラーを入れるか悩む夜が続く。そのせいか、子どもがみんな風邪をひいた。 熱を出して、家でゴロゴロしている子どもを見ていて、おもわず妻に「こんなかわいい子四人も産んでくれてありがとう」と言うと、「ありがとう。種付けし…

こぐまちゃん

「こぐまちゃん」は四男の好きな絵本。 でも、四男はまだうまく「こぐまちゃん」て言えない。 「ねえパパ、ここぐまちゃんよんで」 「ねえ、ここぶまちゃんよんでよ」 「おぶま?」と自信がなくなってきて、 「ねえ、なんていうの?」と聞いてくる。 「こぐ…

性格

うちの二、三、四男が風邪をひいた。 学校も幼稚園もお休み。 退屈な妻と子どもが紙粘土をはじめた。 妻が食パンの耳を立てたような、 ペン置きを作っていたので、 「そういうの、すぐに埃かぶって邪魔になるよ」 と言うと、 「無駄なことばっかり言ってない…

ポケットに夏

一日海で遊ぶ。 夕方「そろそろ帰ろうか」と言ってからが長い。 最後はコンビニでアイスを買うことを条件に、 子どもたちやっと帰り支度をはじめる。 自分の都合で人を動かすにはお金がいる。 やっとこさ海から上がってきた三男が、 「ほら、さわってみて」 …

ぶどう

四男とお留守番。 レゴで家を作る。 ベッドを置き、屋根、お風呂、テーブルを置き、牛とキリンを飼い、屋上にヘリポートまでつけた。 目玉は家の玄関が駅、という驚きの駅近物件。 四男の操るサファリルックの冒険家の人形は、 玄関から機関車に乗り込むと、…

俳人

「洗っても 洗っても 洗い物」 と妻が食器を洗いながら言った。 「すごいな、俳人やな」と褒めると、 今度は自慢げに 「回しても 回しても 洗濯物」 と言い、 「かたずけても かたずけても 汚部屋」 「つくっても つくっても ごはん」 と続けた。

3ページ

次男の夏休みの宿題があと3ページになった。 うれしそうだった。

おじいちゃん子

駅のホームを歩いていると懐かしい香りがした。 くんくん嗅ぐ。 匂いは前を歩いていた白髪のおじいさんからだと気づく。 「うちのおじいちゃんの匂いもこんなだったな」 とまた嗅ぐ。 「この匂い。ポマードなのか」 とまたまた嗅ぐ。 鼻腔をいっぱいに広げて…