仁義なき新幹線
今日から大阪。
品川から新幹線に乗る。
名古屋を超えた頃、トイレに行くと満員。
ではなかった。1つ空いていた。
が、その前にパンチパーマに剃り込みが入った男が立っている。
その男は、こっちに気がつくとキッと睨んできた。
怖い。
「そこのトイレ空いてるんやさかい、ちょっとどいてもろてもよろしいか?」
なんて言う勇気はないし、それは勇気じゃなくて、無謀と呼ばれるもの。
ちょっとすると、中から派手なスーツを着た親分と思しき男が出てきた。
パンチの男は、白くて大きなハンカチを渡し、
二人はグリーン車両に消えていった。
「ヤクが効いとるせいで怖かあらへんけど、これから何年くさい飯食わないかんのかいの。」
ジャケットの下で握りっぱなしのチャカは、
汗でじーとり湿っとる。
グリーン車の自動ドアがえー音出して開っきょった。
奥のシートにさっきの2人とあと2人の計4人。
何とかなるか。
「この度は、うちの若いもんがえらいお世話になりましたそうで、組長はん。」
「なんやワレ!加瀬組奴か」
「広島にヤクザは二つもいりゃせんのじゃ」
「カバチタレとったら承知せんぞわれ!」
パン パン パーン!!
この新幹線、終点は広島。