次男は朝から、いそいそと狼男のお面を作っていた。
針金ハンガーをペンチで伸ばし、グルーガンで繋げ、その上に紙粘土を貼り付け、そこまでいって、これはうまく出来ない、と諦めたのか、全てを食卓の上にほったらかしたまま、拗ねて布団に入って漫画を読んでいた。
僕は前に撮影で使ったツッパリのリーゼントのカツラを出してきて次男に被せ、油性マジックで髭と、長嶋茂雄のような割れた顎を書いた。
鏡に映った自分に大笑いした次男は、
マスクで書いたところを隠し、
うれしそうにパーティーに出かけたが、
時間を間違えて友達に会えなかった次男は、
すぐにしょんぼりして帰ってきた。
次男は洗面所で
「パパが油性マジックで書くから消えないよ」
と文句をいいながら顔を洗っていたが完全には消えず、1日中、うっすら残った髭と男らしい顎が残っていておかしかった。