俺のイタリア

イタリアに行ったことのない男の日常

ヨハンナ

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イギリスに留学した時の英語学校にヨハンナはいた。

ヨハンナは、アフリカのスーダン人の青年で、

当時24歳ぐらいだった。

日曜の朝、二人で近くに散歩に出かけた。

散歩道にあった牧場の牛を見たヨハンナは、

「ケンターロウ、ビーフビーフ

と言った。

僕は、

「あれはカウです」

と言った。

そのあと、ヨハンナのお兄さんが、

チーターかヒョウのどちらかに食べられてしまった話をしてくれた。

 

 

 

 

あっさり味

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「ぐーたらとけちとぷー」の本の帯の文の相談で編集担当のAさんから連絡があった。

「『めんどくさがりですか?ケチですか?へこきですか?』て、書いたらどうですか?」

と、あんまり考えずに答えたら、あっさりとそれに決まった。

心配になった。

 

あと、ひと月ぐらいで出る。

 

 

 

自粛要請

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子どもが新聞の広告で入ってたピザのチラシを見て、

どうしてもピザが食べたいと言い出した。

僕は乗り気じゃなかったので渋っていると、

嫁さんまで、パイナップルの乗ったピザが食べたいと言い出した。

僕は覚悟を決め、スマホでピザを選んでいると、

横から子どもが、ゴロゴロしたお肉がたくさん乗った一番高いピザがいいと言い出した。

僕は、「最近、お父ちゃん働いてるとこ見たことあるか?」

と言って、薄いサラミが乗った一番安いピザにした。

満足感を出すために、ピザ生地を分厚いのにしたら、

子どもがピザの端を残しよった。

 

 

 

バスキア

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父からコロナで仕事だいじょうぶか?

という心配の電話がかかってきた。

なんとかやってるでと答えておいた。

そっちは外とか行ってんの?

と聞くと、

今日は、ユニクロまで散歩して行って、

いいなと思ってた六千いくらのコートが、

思ってたより安っぽかったので、

バスキアのTシャツを買って帰ってきた。

て、言ってた。

 

 

 

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庭に池ができてた。

子どもが掘って作った。

水が土にしみこんでいかないように、

底にはビニールが敷いてある。

そこに田んぼや川から連れてこられた、

ザリガニとおたまじゃくしとタニシがいる。

次の朝、ザリガニがいなくなったと、

子どもが騒いでいた。

 

江口様

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家シリーズより

今日も家にいたので、本棚をかたずけた。

そしたら、本棚の奥から、「江口様」と書かれた茶封筒が出てきた。

その茶封筒を見て、僕は思わぬところで、昔の恋人にばったり会ったような気分になった。

 

「えっ、あれからどうしとったん?」

「まあ、色々と」

「そうやんな、そうやわな」

 

茶封筒の中身は、結婚前に買ったエロ本。

 

今日、46歳になる。