ゴールデンウェーク明けが締め切りの文章を書く仕事が一つある。
でも、書く場所がない。
いつもの喫茶店は閉まったままだし、
朝から子どもがうるさいし、
昼も子どもがうるさいし、
夜は子どもがうるさいし、
もう眠いし。
「ぐーたらとけちとぷー」の本の帯の文の相談で編集担当のAさんから連絡があった。
「『めんどくさがりですか?ケチですか?へこきですか?』て、書いたらどうですか?」
と、あんまり考えずに答えたら、あっさりとそれに決まった。
心配になった。
あと、ひと月ぐらいで出る。
庭に池ができてた。
子どもが掘って作った。
水が土にしみこんでいかないように、
底にはビニールが敷いてある。
そこに田んぼや川から連れてこられた、
ザリガニとおたまじゃくしとタニシがいる。
次の朝、ザリガニがいなくなったと、
子どもが騒いでいた。
今日も家にいたので、本棚をかたずけた。
そしたら、本棚の奥から、「江口様」と書かれた茶封筒が出てきた。
その茶封筒を見て、僕は思わぬところで、昔の恋人にばったり会ったような気分になった。
「えっ、あれからどうしとったん?」
「まあ、色々と」
「そうやんな、そうやわな」
茶封筒の中身は、結婚前に買ったエロ本。
今日、46歳になる。