部室
朝、ゆっくり起きてきた嫁さんが、
突然キャンプに行こうと言い出した。
僕は正直めんどくさかったけど、
子どもがノリノリになってしまったので、
行かざるをえなくなった。
今日は連休の為、高速はすごく混みようだった。
僕はイライラして道も間違え、キャンプ場に着いたら、もう16時近かった。
雨のテントは、キャンプ初心者にはキツイという事で予約したバンガローは、プレハブで部室みたいだった。
僕が部屋で寝転んでいると、
隣のオシャレなテントの家族の話し声が聞こえてきた。
「パパ、あれ何?」と子どもの声。
「休憩所だろ」と父親が答えていた。
よく考えたら、このバンガローのことを言ってるらしい。
悔しかった。間違っても休憩しにこんといて欲しい。
周りのテントで綺麗に燃えてるキャンプファイヤーの薪を燃やすグッズも持ってないので出来ず、晩ご飯を食べたら、早々に寝るかということになったけど、もったいないのでトランプをしたら、本当に部室に見えてきた。
トランプ辞めてはやく寝ようと言う嫁さんに長男は、
「絆を深めるためにするんだよ」
と言った。
みんなが絆を深めて寝た後も、
僕は中々眠れなかった。
プレハブの側を流れる川が、ずっとごうごういっている。
嫁さんがボリボリと手をかいたので、
「起きてんの?」
と聞いても返事はなかった。
朝起きると、まだすごい大雨だった。
僕は大雨の中、テントの片ずけをしている隣の親子を見て、
休憩所で良かったと思った。