俺のイタリア

イタリアに行ったことのない男の日常

いとや

f:id:kaseken:20190829130050j:plain


もう少し、去年に店じまいした実家のブティックの話を書いてみます。

おじいちゃんが神戸から、おばあちゃんは奈良から大阪に出てきて結婚し、住之江の商店街に毛糸を売る店を始めた。

当時は物がない時代だったから、よく売れたと聞きます。

それで毛糸屋に子ども服も置きだした。

それも売れたので、次は婦人服も置きだした。

若い日の母は、夜行列車で東京に服を買い付けに行き、朝に戻ってきて服を店に置くと、すぐに売り切れたという話をよく嬉しそうにしてたから、いい時代だったんだろうなと思います。

 

ある晩、店の二階に家族と店員の人たちで寝ていると、

おばあちゃんが「火事や〜」と叫んだ。

みんな布団から飛び上がるように起き出して、

急いで一階のトイレの柱から出たボヤを消したらしい。

 

その後の警察の調べで、商店街にもう一軒あった婦人服屋の店主が着け火で捕まった。

生前、 おばあちゃんがこの話をする時はいつも、おじいちゃんが全く役に立たなかったという話に最後はなる。