俺のイタリア

イタリアに行ったことのない男の日常

加瀬さん

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「加瀬さんかい?」新島空港で声を掛けてきたのは、レンタカー屋さんの87歳のおじいさん。いい帽子をかぶってはる。超スロー運転で、おじいさんの店まで送ってくれた。店の中に車の整備用品が乱雑に並んであるところを見ると、ご自分で整備もされるらしい。運転免許証を渡すと、「加瀬さんはこの島にも1人いるな、空港の喫茶店で働いてるよ。」と言った。普通のレンタカー屋さんが必ずする車のキズの確認もなく、キーを渡される。まあ、もう5つや6つ傷をつけても分からないぐらい車はボロボロで、運転席側の窓は時々開かなかった。

2日間の撮影も終わり車を返しに行く。「いいの撮れましたか?」と言って、おじいさんがまた空港まで送ってくれた。NHKで働く息子さんの事、伊豆七島でも島によって方言が違うことを話してくれた。いい時間で楽しかった。空港に着いておじいさんに礼を言い、喫茶店に向かう。喫茶店の店員の女性に「加瀬さんですか?」と聞いた。「はい、加瀬ですけど」と戸惑いがちに答えた店員の加瀬さんに「僕も加瀬です。」と名乗った。