俺のイタリア

イタリアに行ったことのない男の日常

写経

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長男が塾の冬季講習に行っている。

小四で燃え尽き症候群にならないかと

心配している。

 

小学校の時の友達の

あまり勉強のできる方じゃなかったじゅんやくんが、

6年生になったぐらいの時、

親は何を夢見たか、近所の英語塾に通わせだした。

 

その英語塾は、一単語暗記するのに、

100回も書かせるようなきびしい塾で、

じゅんやくんが、急に遊んでくれなくなったので、

僕は仕方なく、写経の様に勉強をしているのを

よく横から眺めていた。

 

そんなある日。

じゅんやくんに変化があった。

後頭部に円形脱毛症が出来てきたのだ。

最初毛が薄いなぐらいだったそれは、

やがて1円玉ぐらいになり、

気がつくと500円玉大に成長していた。

他にも小さいのが2つ出来て、

計511円ほど後頭部に貯金していた計算になる。

流石にかわいそうに思ったのか、

親が塾をやめさせると、

驚いたことにじゅんやくんの頭の貯金は、

みるみるうちに目減りしていった。

が、英語の成績も目減りしていった。

 

それから何十年ぶりか、偶然にじゅんやくんに会った。

子どもを2人連れて市民プールに行く途中らしい。

時の流れに驚いた。

じゅんやくんの頭はすっかり禿げ上がっていた。

僕は努めて、目線が頭にいかない様にしていたが、

「こいつ貯めこみやがったな」と思ってた。