俺のイタリア

イタリアに行ったことのない男の日常

キッズ・リターン

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高校の時の友達O君と20年ぶりに会った。

高校の時、僕は学校に一人しか友達がいなかったが、O君も僕しか友達がいなかった。

たまに、クラスメイトが食堂の同じテーブルで食べててもO君が、「一緒に飯食ってるけど、お前友達ちゃうで」と、意味のない冗談を言い続けたおかげで、他に友達が出来なかった。

当時、「たけしの元気が出るテレビ」のダンス甲子園が流行って、僕の周りでも「ダンパ」と呼ばれるものが開催されている様だった。クラスの調子乗りの子から、「女の子めっちゃくるで」と唆され、2500円も払ってパー券を購入したそのダンパは、なんでか昼の12時から心斎橋にあった「マハラジャ」というディスコで開かれた。確かに女の子はいっぱい来ていたが、男子校で揉まれた過ぎた僕とO君は、女の子に話しかける方法も、会話を続ける自信もなかった。おまけにLLブラザーズがやっていたようなステップの1つも知らず、四角いビロードのソファーから一度も腰を上げる事なく店を出た。店を出た僕らは、極度の緊張からの解放と、何もできなかった事で逆にテンションが変に上がり、なんでか成人映画を見に行くことにした。ドキドキしながら窓口で、「学生2枚」と言った僕らに、「あんたら何歳や?」とモギリのおばちゃんは言ったきり、「専門学校生です」と言ってみても、2度と僕らと目を合わさなかった。結構な無視されたにも懲りず、次はNGKの前にあった500円の成人映画館にトライして、今度は拍子抜けするほどあっさり入れた。二人笑いを堪えて成人映画を見出したけど、10分もしないうちに雰囲気に飲まれ、気分が悪くなってに外に出た。映画館を出た僕らは、難波のどこで何したらいいのか全く分からず、逃げるようにして高島屋百貨店の屋上に行った。高島屋の屋上は閑散としていて、ペットショップを少し覗くとすることがなくなった。飲み物を買ってベンチに座ったら、今日の事をお互い相手のせいにして口論になり、そのまま口も聞かずにO君と別れ、難波から南海電車に乗った。家の近くの駅に着いたらまだ16時過ぎで、今日のことで落ち込んだ風にしようにもまだ太陽が高かすぎて、どう振る舞っていいか迷った。